vol.10 聖地巡礼、イエローストーン&クリスマス島へ

2015年03月14日

2015年03月14日 18:00

今回のゲストは、イエローストーンとクリスマス島に行かれたという浅里さん( 東京都在住:以下、Aさん )です。

* 浅里さんは、前回に続いてvol.2登場の折茂さんにご紹介いただきました。ありがとうございます!




「fish the world 世界を釣ろう」のオリジナルコースターを浅里さんに差し上げた

ところ、浅里さんから、ご自身のイラストによるクリアファイルやメガネやスマホの汚れを拭く

のに便利なクロスをいただきました。







とても素敵でかわいいイラストに感動して、そこから会話がスタートしました。

インタビュアー:工藤( 以下、K )              2015年1月29日


K:

水生昆虫をこんなにかわいく描けるなんて、素敵ですね。

生き物や自然、生態系などへの関心とそれを絵やイラストにする、絵本を出版するといった活動ですが、

絵が先で、テーマとしてそのようなことに取り組むようになられたのですか?

Aさん:

いえいえ、子どもの頃から土掘って遊ぶのが好きで、そっちが先ですね。

K:

あ~、私と同じ系統ですね( 笑 )。子どもの頃、掘ったら埋めておけってよく言われました。

Aさん:

私も向かいのおばさんに、がけ崩れするから掘るなって、言われたりとか( 笑 )。

K:

私は、4歳から東京( 大田区 )に住んでいるのですが、小学生の頃、里山のような大きな

庭のある団地に住んでいまして。昭和40年代ですが、そこには結構自然が残っていて、

クワガタなどの昆虫やカエルやヘビを捕まえたり。

木々も豊富で、その根っこを掘るといろんな虫とかも出てくるじゃないですか。

それを団地の管理人さんに見つけられて、「木が枯れる!」って怒られたり。

Aさん:

わかりますね~、その感覚。私もそういう感じです。

釣りの世界は、大人でも遠慮なく、虫とか自然とかに触れることができるじゃないですか。

ツボにはまりまして。水に入って遊んでいても、誰にも怒られない( 笑 )。

K:

その気持ち、よく分かりますね。小学校までは、無邪気に虫とか捕まえて

遊んでいたわけですが。中学校くらいになると、部活とかも始まったり、周りの目とかも気になって。

虫とか自然とかから、だんだんと遠ざかって。

そういうことから離れてしまう寂しさをどこか心の中で抱えていて。

大人になって、そういうことに関われる何かいい理由はないかなって。

それで、釣りに行き着いたようなところがあります。

Aさん:

そうそう、そうですよね。

ただ、私は、いい理由がないかなって探したわけではないですが。

たまたま見つけて、はまったら、それがそうだったっていう感じです。面白いですよね。

K:

ところで、釣りは大人になられてからなんですか?

Aさん:

そうです。女の子って、子どもの頃に釣りとかに誘われる機会ってないんですよね。

K:

そうかもしれませんね。

で、始められたのは、いつごろから、どんなきっかけだったのでしょうか。

Aさん:

10数年前、渋谷区主催のカルチャースクールがあって。

幡ヶ谷の社会教育会館で、ジャパン・フライフィッシャーズ( JFF )がその時、一回きりだった

らしいんですが初めてフライフィッシング講座っていうのをやったんですよ。それに参加したんですね。

三か月通しで、フライのタイイングから、キャスティングなどの練習、実地まで。

最後は、鹿留( 山梨県の管理釣り場 )だったかな。

K:

それは、丁寧なスクールでいいですね。

Aさん:

はい。それで、フライフィッシングに出会ったことで、子どもの頃から距離を置かされていたものが、

ぐーんと近くにきた感じで。水生昆虫なんて大好きですし。フライフィッシングの魅力は観察とか、

虫とかが一番ですかね。スポーツ性とか、数釣りとかは、あまり魅かれませんね。

K:

へぇ~、そうなんですね。おおらかな感じでいいですね。

それで、JFFに入られて、フライフィッシングを覚えられて。

その後は、どんなところで釣りをされてきたのですか?

Aさん:

全国に会員の方がいて、各地でミーティングをされるんですね。

それに参加させていただいて。初心者にも関わらず、人が知らないような川に全国各地、

あっちこっち行って。

K:

それはいいですね。始めた頃は、どこに行っていいのか分からなかったりしますからね。

Aさん:

そうなんですよね。本当にありがたかったです。

それとは別に、九州にF4というグループがあって。福岡から、九州全域と山陰くらいまで会員の方がいて。

私、出身が北九州の小倉なんですね。で、そちらをベースに九州、山陰、そしてトカラ列島へ。

トカラ列島の口之島( クチノシマ )はよかったですよ~




  





                       * 以上3点、トカラ列島にて。


またF4ではないのですが、お知り合いの方々と西表島にも行きましたね。








                                                                                                        *以上3点、西表島にて。


K:

海のほうもやるんですね。

Aさん:

はい。東京近郊では、三浦のほうとか。シイラとか、マグロの仲間を釣ったこともありますよ。

K:

なるほど~

で、海外なのですが。初めて行かれたのは?

Aさん:

イエローストーンです。10数年前になりますが。




K:

お~ 王道ですね~

Aさん:

みんなが聖地と言うようなところなので、行ってみようと。




K:

イエローストーンといっても、そのエリアは広大なんですよね?

Aさん:

そうですね。

公園内も南側と、マジソン川、エニスの町のほうとか。

ヘンリーズフォークとか。お決まり、定番のところですね。




K:

初めての海外、イエロースーンはどんな印象だったのでしょう?




Aさん:

生き物が好きじゃないですか。だから、公園内の生き物も面白いし。

釣りとかしてると、真後ろにエルクとか来て。身動き取れなくなっちゃって

どうしよ~、とか。いろいろスリリングで楽しかったですね。




K:

魚はどうなんでしょう? 美しい野生だな~、とか。

Aさん:

野生だな~って言うより。保護されているせいなのか、おっとりした感じで。

みんな。顔ものどか~な顔をしているんですよね。




K:

川の流れが緩やかだからですかね?

Aさん:

それが、見た目は静かなんですが、意外に流れは重いんですね。

スプリングクリークで流量が多いからですかね。

川の中を歩くのも、重いんですよ。どろっとした感じで。

ご年配の方はきつそうでしたね。

K:

そして、イエローストーンの次にクリスマス島へ。

この写真は何でしょう?





Aさん:

これは、黒板に、どこの船に釣り人は誰で、その担当のガイドは誰というように

ローテーションが書いてあって。うまいガイドだと釣れると言われていて。

幸いいいガイドについてもらって、ラッキーだったと思います。

ガイドが魚を見つけてくれないと、魚を見つけるのが最初は難しいんですね。




K:

そうなんですか。海の透明度が高くても?

Aさん:

コーラルに同化している色に魚もなっているので、ほとんど見分けがつかなくて。

魚の色も透明なんじゃないかと思うくらいで。骨だけの魚、ボーンフィッシュと

言われるんですけども。

行ってから、3日くらい経つと、突然見えるようになるって、言われるんですが。

本当にそうなんですよ。屈折率の関係とかで、海の中の見方が身につくっていうか。

K:

なるほど~ 

あ、この写真いいですね~ きれいな風景ですね。広い浅瀬が続いている感じですよね。

その範囲で釣るんですよね。




Aさん:

そうですね。広いリーフの先は突然ドロップオフで深い外洋になりますが。

K:

海の色って、がらっと変わるんでしょうね。

Aさん:

それもそうなんですけど。透明度が高いので、何十mまで海の底が見えるんですね。

バラクーダの群れの上をマンタが泳いだりとか。その重なりがぜ~んぶ見えちゃうんですよ。

水族館みたい。あそこは、もう一度行きたいって思います。




K:

へぇ~! ダイビングなら、分かるけど。海の上から肉眼で見下ろせるのは

素晴らしいし、感動的な光景ですね。

Aさん:

そんなに透明度が高いとは思っていなかったので、一応ダイビングのライセンスも取って

行ったんですが、海流が速くてとても上級者じゃないと無理そうでした。

K:

ダイビングはできなかったけど、透き通るような海の光景を

肉眼で海の上から見た経験は素晴らしいですよね!

あっ、このボーンフィッシュの写真は水中で撮ってますよね。よくきれいに撮れてますね~




Aさん:

はい、なんとか。でかいハウチングで、どうにか。

K:

ボーンフィッシュが釣れることで有名なクリスマス島は、

ソルトウォーターのフライフィッシングでは、やはり聖地的というか

フライフィッシャーなら、一度は行ってみたい憧れの場所と言われているらしいですね。

フレッシュウォーターの聖地、イエローストーン。そして、ソルトウォーターの聖地、クリスマス島へ。

そういう意味では、分かりやすいですね。




Aさん:

ははは~ そうですね。

これは、鳥類観察のためにガイドを雇って、鳥を見に行ったんですね。

ヒッチコックの映画「鳥」のロケ地にもなったそうです、クリスマス島は。

鳥のコロニーがいっぱいあって。




あ、そうそう。内緒にしているんですけど、マンタを釣っちゃったんですよ。

マンタの下にボーンフィッシュがいることがあるってガイドが言うので、

フライをキャストして。30分くらいのやりとりでへとへとでした( 笑 )。




K:

へぇ~、重いでしょうね~ どのくらいの大きさだったんでしょう?

Aさん:

全長は、150cmくらいで。ざば~ん、ざば~んって、感じで、感触としてはイカの引きに

似ていました( 笑 )。でも。結局、フライでちゃんと釣り上げたんですよ。

K:

ほ~ それは、楽しいハプニングでしたね。で、ボーンフィッシュの釣りはどうだったのでしょうか?

Aさん:

いくらでも釣れましたね。すれてなかったんですよね、この頃は。釣り人も少なかったですし。

これは、ブルーフィントレバリー( カスミアジ )ですね。




K:

ボーンフィッシュを釣りたい人にとっては、夢のような環境なんですね!

そして、ブルーフィントレバリーもきれいですよね~

イエローストーンやクリスマス島以外にも海外へ行かれていると伺いましたが。

こちらは、どこですか? 釣りでは、ないんですか?




Aさん:

チベットですね。

友人に「チベットに行ってみませんか」って誘われて。メインの目的は、お花で。

「ブルーポピーが見られるかもしれませんよ。運がよければ」って言うので、

すぐに「行きます!」って返事しました。

ブルーポピーは、標高5000mを超えないと咲かないんですね。

標高4000mになると花の色も変わってきて。

それと。一応、釣りもできたらしようと釣り道具は持って行ったんですね。

チョウコウイトウが釣りたくて。現地に到着した際には、

チョウコウイトウの標本があるという水産試験場へ。




標本は非公開ということで。撮影は許可されなかったんだけど、遊牧民が氷上に

打ち上げられているのを発見したという、2mもある見事なチョウコウイトウを見ることができました。

旅の中で、あんな魚に巡りあえるかもって。

ちょっとワクワクしたんですが、結局その旅では出会うことはできませんでした。

K:

チョウコウイトウに出会えなかったのは残念でしたが、あわよくば釣るぞ!

という、その姿勢がいいですね。私も仕事の出張でも、川や湖がありそうな場合には、

パックロッドをよくスーツケースに入れて行きます( 笑 )。

Aさん:

パックロッド、いいですよね。




それから、青海湖というところで、標高の高い地域の湖でしか見ることができない裸鯉( ハダカゴイ )

という鱗のない魚「湟魚」も釣ろうと思って。こちらは残念ながら、禁漁になっていて。




鱗がないのは、高地の湖で少ない酸素を効率よく吸収するために退化したんですって。

一方、肺とか、内臓を守る器官は発達しているんですよ。強い紫外線から体を守るために

内臓器官の周りが黒いフィルム状の膜に覆われているそうです。その膜には毒性があって

食べるといけないらしいですけど。

これは、また違う魚で。ドジョウみたいな。ご一緒した方が釣ったんですが。

これも、ぼーんと、ふっくらした胴回りですよね。




話は変わりますが、3000mくらいのところで崖とか掘ると、冬虫夏草( * )とか出て

くるんですよ。スコップを持参して、掘っちゃったんですが。

* 日本では漢方薬で知られるようになった冬虫夏草は、コウモリガの幼虫と、そこに寄生した菌が繁殖したものとのこと。

K:

そこで掘っちゃいましたか~( 笑 )。

で、目標のブルーポピーには出会えたのでしょうか?




Aさん:

はい。小さな村で情報を聞いたりして、道なき道をドライブして。

ある川を渡ったら、その先にブルーポピーが群生していたんですね。

やっとここで出会えた!!って。すごく感動しました。




K:

素晴らしい! ブルーポピー、きれいですね~

こちらはイギリスとのことですが、目的は釣りではなかったんですか?




Aさん:

それも、「釣りができるなら、行くよって」、イギリスにお友達がいて。

K:

そのパターンなんですね( 笑 )。




Aさん:

まず、最初にちょっと観光した後にテムズ川でガイドを雇って、釣りするつもりだったんですが。

運悪く記録的な豪雨によるものすごい増水で、水面と地面がつながっているような状態だったんです。

到着した日からは晴れのお天気が続いたんですが・・・それで結局、テムズでの釣りはできずで。






コッツウォルズという町で、友人はどこかで買い物すると言うので

私一人でコンシェルジュに、どこか釣りのできるところがないかと聞いて

民間の方のお持ちの池で釣らせていただいて。

一人なので、写真を撮ってくれる人がいなくて。自分の写真はないのですが。

K:

池といっても、豪邸の庭にある大きな池なんでしょうね?




Aさん:

そうですね。山梨県鹿留の管理釣り場の池より、ずっと大きい!

それに、とっても素敵な雰囲気なんですよ。




K:

なかなか素敵ですね~

釣りがメインの旅もあれば、釣りも絡めながら花を見に行ったり。観光もしたり。

国内外で、様々なところへ出かけられているのですね。

今日は、たくさんの楽しいお話を本当にありがとうございました!

<編集後記>

自然や昆虫が大好きな女の子が、大人になってその気持ちのままにフライフィッシングで

遊ぶようになる。( 浅里さんは、結果的にそうなったと仰っていましたが )

フライフィッシングに出会えたことが、とても幸せなことと感じられている様子が会話から

よく伝わってきました。また、私のようにがつがつして釣りをするわけではなく、

虫を観察するなど、自然に触れる。自然とつながる。その一つのスタイルとしてのフライフィッシング

なのだろうな~とも思いました。

イエローストーンやクリスマス島に行ったのがいつなのかをはっきりとは覚えていない。

そして、釣った魚の具体的なサイズや数についての話は浅里さんの口からは、一切出てきません。

何とおおらかな楽しみ方なのだろう。

こういうアングラーもいるのだな~と、新鮮な感動を覚えました。

浅里さん、ありがとうございました!!


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