vol.15. アメマス80cm超!カムチャツカの豊穣
2016年01月09日 18:00
今回は、清河年和さん( 神奈川県在住:以下、Tさん )にオーストラリアのバラマンディや
カムチャッカのアメマス。そして、アマゾンのピーコックバスなど。
主にルアーでの釣り旅について伺いました。
* vol.2登場の折茂さんにご紹介いただきました。ありがとうございます!
* 2011.8 カムチャッカ2回目の釣行でキャッチした、84cmのアメマス
そもそもの釣りとの出会いについてから話はスタート。よろしくおつきあいください!
インタビュアー:工藤( 以下、K ) 2015.11.8
K:
今日は、よろしくお願いします!
ところで、そもそもの釣りとの出会いはどんな感じだったんでしょうか?
Tさん:
こちらこそ、よろしくお願いします!
釣りとの出会いは小さいころからですね~、父方の祖父がヘラ釣りをやっていまして。
田舎に帰ると釣りをしていましたね。
K:
田舎はどちらでしょうか?
Tさん:
台湾なんですね。あんな暑いところに、ヘラがいるんだって驚いたんですが。
おそらく、日本人が持ち込んだんでしょうけど。
K:
へぇ~ 面白いですね。
Tさん:
あとは、小学生のころは埼玉県の志木にいまして。エサでオイカワとかを近くの川で釣ったりとか。
また、田んぼや用水路がまだいっぱいあって、クチボソ、タナゴ、コブナとかをミミズやアカムシを
捕まえて釣ったりしてましたね。釣りのきっかけはそんなところですね。他にザリガニを捕まえたりとかも。
K:
私も近いですね。東京都大田区の大森なのですが、当時( 昭和40年代 )は雑木林や池とか沼もあって、
よくザリガニやカエルとかを獲ってました。私もそうなんですけど、小学生を卒業すると中学・高校と部活
やらで釣り含めて、生きものを捕まえるということから遠ざかってしまう。
ただ、その記憶は消えることがないようで。心のどこかに魚や生きものと関わりたい、あるいは捕まえて
みたいという願望があって。それを埋めるかのように大人になってから釣りに改めて出会うという。
そういう方って、結構多いようなんですよね。
Tさん:
工藤さんと同様に、私も中高生のときは釣りとは疎遠になっていましたね。
それが、大学のときに、場所が長野ということもあって。東京でできる遊びをしてもしょうがないし、
やっぱりアウトドアだろうと。大学の仲間と川原でバーベキューしたり。
そして、当時はバスフィッシングがブームになっていて。友人で既にやっている人がいたり、兄も始めたりと。
環境としても、車で10分も走るとダムや沼があったりして、バス釣りにはもってこいな感じで、
自分も中古の道具を買って始めました。すっかりハマって、早朝に釣りして朝9時に始まる大学の授業に
行くと隣に座っている子に「 清河くん、魚臭いわよ 」って言われるという( 笑 )。
K:
ははは~ 釣り魂、目覚めるって感じですね。大学生のときにルアーにはまって、早20年ということ
ですが、海外へ行くきっかけはどんなことだったのでしょうか?
Tさん:
卒業して、歯科医師の国家試験を受けて発表まで時間が空くんですよね。
兄もたまたま仕事を変えるタイミングで暇があって、じゃあ、海外へ二人で行こう。
単なる観光ではなく、釣りしに行こうということになって。
で、たまたまちょっと雑誌読んで、気になったのがオーストラリアのバラマンディという魚で。
すごいなこの魚って、興味持ちまして。大きいのは1m超えるという。
バス釣りの延長にこういう釣りの対象魚がいるのかなって。
ということで、初の海外はケアンズへ。ケアンズ周辺のジョンソン・リバーなどの川の河口や上流に
上っての釣りでした。そうそう、そこを紹介していただいたのがトラウトアンドキングさん
( 海外釣り旅専門旅行会社:リンク参照 )だったんですね。
K:
そういう出会いだったんですね。トラウトアンドキングさんとは。
それで、初の海外はそれなりには釣れたって感じでしょうか?
Tさん:
そうですね~ バラマンディは1尾、56cm 。60cmくらいのが掛かったのですが
ばらしてしまい。ただ、パシフィックターポンやマングローブジャックとか、ジャングルパーチとか、
小さな40~50cmのGTとかも。いろんな魚が釣れて楽しかったですね。それで、海外の釣りは面白いと。
K:
で、はまったわけですね( 笑 )。
Tさん:
はい。でも、仕事が始まってからは、しばらくは仕事に慣れるのに大変だったし、
忙しくて海外には行けなかったんですね。
そして、社会人3年目の夏。兄と久々に海外に釣りに行くかっていう話になりまして。
僕はやっと余裕もできてきたし、兄もたまたま奥さんがある資格試験の勉強に専念して
いて、いても邪魔だから海外にでもいってらっしゃいとか言われて。
K:
ははは~ お兄さん、最高じゃないですか。奥様から行ってこいって言われるなんて( 笑 )。
で、どちらへ?
Tさん:
同じく、バラマンディを目指してオーストラリアだったのですが場所は北の方のウェイパへ。
バラマンディでは有名なところで。ケアンズ経由で、国内線のプロペラ機でローカル空港へという旅でしたが、
その空港の滑走路はダートで。初めて見ました。すげぇーなーと。土煙上げて着陸して。
今は、舗装されているらしいですけど。
釣りは3日間。モーテルを拠点に、近くの入り江からボートで川を上るという釣りだったんですが。
日帰りには大変な距離ということで、結局、川辺で野宿しながら釣りをしました。
* バラマンディを2人で、ウェイパにて 2005.8
K:
へぇ~ 面白いですね~
Tさん:
ワニはいるはで、完全なアウトドアって感じで楽しかったですね~
ワニが上って来られないような高台にテント張るんで、大丈夫なんですけどね。
ただ、夜、寝返り打って横向くと獣の2つの光る目が見えて、ドキっとしたり。
小動物のようでしたけど。また、夜空は満点の星がとにかく美しくて。
初めて南十字星を見たり。よかったですね~
* 釣りはキャンプをしながら( 焚火の風景 )、 ウェイパにて 2005.8
K:
いい体験ですね~ 釣りの方はどうだったんでしょう?
Tさん:
そうですね。このときは、入れ食いの状態で何匹かを数えきれないという感じでしたね。
すべてが60~70cmのバラマンディで。最大は、78cmでした。ミノーをマングローブとか立木の倒れたところ
の奥に入れて引っ張り出すという感じの釣りで。
*70cmクラスのバラマンディが連続ヒット、 ウェイパにて 2005.8
K:
70cmクラスは、パワフルでしょうね~
Tさん:
いや~ 本当に衝撃的でしたね。そんな大きい魚は初めてですし。ミノーをジャーク入れて止めると、
いきなりガツンと食ってくるんですがロッドごと持っていかれるのではと思ったくらいですね。
食った瞬間に、バーンって跳ねますしね。また、すごい世界を見ちゃったなと。
K:
ははは~ ますます、ハマると( 笑 )。
一度、ハマるとなかなか抜けられない世界ですからね~( 笑 )
Tさん:
ランカーと言われる80cmオーバーは出なかったので、機会があればまた行ってみたいですね。
K:
いいですね~ で、2回目以降は、どれくらいのペースで海外へ行かれているのでしょう?
Tさん:
いや~ 仕事が忙しいのと、兄貴は子どもが生まれたりとかもありましてしばらくは行けなかったんですね。
釣り友達はいても、なかなか海外まではいっしょに行ってくれませんしね。
K:
そうですよね。僕なんかは最初から割り切って、海外の釣りは一人旅なんですけどね。
Tさん:
都合が合わなければ、一人で行くしかないですよね。私の場合は、なかなか行く機会もなく悶々として
いる中で、トラウトアンドキングさんのサイトをいいな~とよく眺めていたんですね。
そこに同行ツアーというのがあるのを発見しまして。この手があるか!と。
5年くらい前でしょうか、もう8月の初旬で。お盆に行けるところありますかって聞いたら、
「カムチャッカなら行けますよ」とのこと。
はぁ~ カムチャッカ?サケとかですか??って聞くと、「そうです」っていう。
サーモンフィッシングに興味はあったので行くことに決めました。
K:
カムチャッカの釣りは、どんなサケ科の魚が対象だったのでしょう?それと、川の釣りですよね?
* カムチャッカ、ボルシャヤリバーの風景 2010.8
* 泊まったロッジの風景 2010.8
Tさん:
カラフトマス( ピンクサーモン )がメインで。その年は、カラフトマスの当たりの年だったらしく、
すごい釣れました。他にアメマス、ドリーバーデンとかも大きくはなかったんですが釣れましたね。
場所は、ボルシャヤリバーというところで。
* 初めて釣ったカラフトマス。 2010.8
* ロシア人スタッフとツアー同行者の西村さんと。これを機にこれから3度もツアーに同行することになります。
K:
私も2010年の夏にボルシャヤリバーに行きましたが同じくカラフトマスの遡上数がすごくて、
数えきれないほど釣れましたね。
Tさん:
国内では、長野とかで小さな支流とかの釣りしかしたことがなくて大河の本流の釣りは初めて
だったのですが、あれだけ数が出ると釣れるパターンとか分かりますね。
あと、シロザケ( チャムサーモン )を釣りたかったんですがなかなか釣れなくて。
最終日、雨が降ったあとにシーライスがついたフレッシュな銀色のやつで、少しブナが入った魚体の
シロザケが釣れたんですね。80cmくらいの。これは、すごく引きましたね。
* 最終日に釣ったチャムサーモン( シロザケ )80cm 2010.8
これで、また海外の釣りに目覚めましたね。こういうツアー参加があるじゃないかと。
K:
ははは~ 目覚めちゃいましたか~
Tさん:
その次の年もまたカムチャッカ行っちゃいましたから。
K:
お~ 行っちゃいましたか~ 同じ川ですか?
* 2回目のカムチャッカは、旧ソ連製のMi8というヘリで山奥へ 2011.8
Tさん:
いや、別の川で、ジュパノバリバーです。ヘリで上流まで行って。ニジマス ( ミキージャ )とか、
アメマス( クンジャ )、ドリーバーデン( ガリエツ )狙いで。最高でしたね。
他には、チャムやピンクも釣れました。
* 到着した山奥のロッジ。子どもの頃、こんな家に住みたいと思ってました 2011.8
* サラミ、スモークサーモンは自家製で食べ放題!サーモンのボルシチは絶品でした。山奥とは思えないご馳走に感激! 2011.8
* ミキージャ( ニジマス ) 64cm 2011.8
* ガリエツ( ドリーバーデン )はフライでも入れ食いでした 2011.8
K:
釣った魚の中では、何が一番印象に残ってますか?
Tさん:
アメマスでしょうか。ニジマスは最大64cmだったのですが
アメマスは、74~5cmのが釣れまして。で、これを釣ったあとに、もう満足と思って
いたら、次の一投目でさらに大きいこれが釣れちゃいまして。 84cmありましたね。
*アメマス75cm 、この直後にさらなるドラマが! 2011.8
* 75cmをリリース直後の1投目に来た84cmのアメマス 2011.8
* 同行の西村氏も同時に75cmのアメマスをキャッチ 2011.8
K:
いや~ いいっすね~ 素晴らしい!!
そのときの状況を少し詳しく教えていただけますか。
Tさん:
75cmを釣ったときのルアーは12gの黄色のチャートカラーのスプーン。
荒瀬の中アップクロスにキャストしてスイングさせている最中にガツンと引ったくるようなアタリが来て。
フッキングさせると下流に向かって突っ走る。5分程格闘したでしょうか。
ガイドがフォローしてくれて、ネットインして無事キャッチ。
そして、リリースしたあと同じスプーンを全く同じところへキャストしたらまたもや同じように瀬の流芯で、
これも引ったくるようにガーンっと食ってきた!
ガイドを呼んだのですが、今度は少し下流で同行の西村さんがファイト中で対応していて。
75cmよりも強烈なランで下流に向かって走ったと思ったら自分に向かってきたり、大ジャンプしたり。
やっと弱ったところで何とか岸に引き上げて、1人でランディングしました。
K:
ばらさずに釣り上げられて、本当によかったですね!
ところで、カムチャッカは日本から近いのでカムチャッキー空港までは行くのが楽ですけど。
そこから釣り場までの移動が大変ですよね。北米のように移動手段のインフラがまだまだ未発達ですし。
その辺は、どう思われますか?
Tさん:
それはそれでいいんじゃないでしょうかね。だからこそ、自然も魚影も濃いんだと思いますね。
K:
確かに。お金も手間も掛かるから、あまり多くの釣り人が行かない。
それによって、自然や魚も守られるっていうこともあるでしょうしね。
Tさん:
あ、そうそう。これ、シルバーサーモンなんですが。最終日に遡上しているところがあるって、
ガイドが連れていってくれまして。
*遡上が始まったばかりのシルバーサモンを釣る 2011.8
* シルバーサーモン、70cmを筆頭に3本上げたところに5~60m先に子連れのクマが出現。すぐに対岸へ避難しました。
* カムチャッカ、ジュパノバリバーの風景 2011.8
K:
2年連続で、お盆の時期にカムチャッカに行かれて。さらに・・・
Tさん:
その次に、遂にスティールヘッドをやろうかと。2回目のカムチャッカの翌年のゴールデンウィークに。
カナダのスキナー水系へ。
* カナダ、キティーマット川はドリフトボートで下りながら移動しての釣りでした 2012.5
K:
お~ 連続ですね~ どうでしたか?
Tさん:
さんざんだったんですけどね。極端に遡上する魚が少ない年だったということもあって。
フライの人たちは全滅でしたね。ノーヒットだったり、掛けてもばらしたりと。
私は、ルアーだったんですが、ルアーもぜんぜんだめで。
最終日に何か釣っとかなきゃって、エサ( イクラ )でやっと釣ったんですね。
釣り以外では、ビーバーとかも見れて、楽しかったんですけどね。
* 最終日に念願のスティールヘッドをキャッチ 2012.5
* スティールヘッドが釣れた川のポイント 2012.5
* 2本目のスティールヘッドは88cm 2012.5
K:
私もアラスカやカナダで何度か出会いましたね。一度ガイドが面白いもの見せてやると言って、
川岸から少し森に入った湿地に連れていってくれたのですが、そこには信じられないくらい大きな
ビーバーの巣があったんですね。枝を積み上げた高さは3mくらいあったかな。
あんな小さな動物がすごいな~って、びっくりしたのを記憶していますね。
Tさん:
そうですよね~ ビーバーすごいな~って私も思いました。
* カナダ、キティーマット川の風景 2012.5
それから、カナダの他は、ニュージーランド南島のマタウラへブラウントラウトを
釣りに行ったり。これもゴールデンウィークの時期でしたね。
* ニュージーランド南島にて 2013.5
* 開始30分2本目で60cmクラスのブラウンをキャッチ ニュージーランド南島・マタウラにて 2013.5
* マタウラ川に立ち込む 2013.5
K:
これもいい魚ですね~ ルアーは、ミノーとかですか?
* 50cmクラスの良型のブラウンも次々とキャッチできました 2013.5
Tさん:
はい。5~6cmのミノーですごい数が釣れましたね。
それと、あとは直近の海外は、2013年のアマゾンですね。
* 空から見たアマゾン川の風景 2013.12
* ある日のアマゾン川の夕焼け 2013.12
K:
アマゾンも行かれたんですか~ いいな~ 多様な魚が釣れると聞きますが
印象に残っている魚は何でしょうか?
Tさん:
やはり、ピーコックバスでしょうか。
* 75cm、14ポンドのパッカ型のピーコックバス 2013.12
* 70cmオーバーのブラックアロワナ 2013.12
* 55cmのタライーラ 2013.12
* ジャークベイトに食いついてきた45cmのブラックピラニア 2013.12
* 奥にあるラグーナ( 三日月湖 )を目指して。ジャングルクルーズの釣りです 2013.12
K:
そうそう、ご一緒されたvol.9登場の木島さんがおっしゃっていましたが、
ピーコックバスのあたりってすごいらしいですね?
* 持参したルアー 2013.12
Tさん:
はい。特にスイッシャーへのあたりがすごいんですよ。GTみたいですね。
ドッカーンっと横からひったくる感じで。まるで水面に隕石でも落ちたかのような!
* 宿泊した船内でいただいた揚げたてのスルピン( ナマズの一種 )のから揚げ。絶品! 2013.12
* 市場で見かけたスルピン 2013.12
K:
いいですね~ 2013年ということは、2年ほど経ちますが、次の予定はないのでしょうか?
Tさん:
開業準備で忙しかったのと、今年開業( 清河さんは歯医者さんで、2015年に開業されたとのこと )した
ばかりなもので。
K:
じゃあ、現在は悶々としているわけですね( 笑 )。
Tさん:
そうなんですよ~ 軌道に乗ったら、すぐにでも行きたいんですけどね~
K:
早く軌道に乗って、その悶々が晴れることをお祈りしていますね!
今日は、楽しい話をありがとうございました!
完
< 編集後記 >
子どものころに近所の川や用水路でコブナを釣ったり、ザリガニを捕まえたり。
中学生以降には生きものに触れることから遠ざかる。でも、どこかにそのわくわく
した原体験が残っていて、大人になってから改めて釣りに目覚めていく。
そして、その熱が高まるにつれていつしか海外へとはばたく・・・
この流れが、まったく私も同じだったのでとても共感しました。
それとご兄弟で海外釣り旅というのも羨ましいな~と。
また、様々なエリアで多様な魚を釣られているのですが、
その中でもやはりカムチャッカの80cm超のアメマスはインパクトがあって、
タイトル及びトップに掲載する写真にぜひ!と、選ばさせていただきました。
清河さん、改めてありがとうございました!