vol.4 80cm巨大虹鱒、パタゴニアの強烈
2014年07月21日 10:00
今回は、vol.3に引き続いてUさんのレポートをお届けします。
2013年8月の私もご一緒したアラスカ、2013年12月( 年末年始 )のアルゼンチン、
パタゴニアの釣行の様子をお楽しみください。
また、海外釣り旅全般の魅力や普段の日本国内での釣りについてもお伺い
しました。
* レインボートラウト、パタゴニアにて。
【 アラスカ : ナクネクリバー ~ アークティックチャー、グレーリング、ベニザケ他 】
かつて四十数年前に開高 健さんが絶域の冷たい水に立ち込み一本の杭と化し、
泣苦寝苦( ナクネク )川と表現した辺境の地も今は洒落たロッジも見られ
釣り客の数も少なくありません。
今回、2013年8月の釣行で、このサイトの主催者である工藤氏と初めてお会いしました。
小生が彼の著書「 極北の大河で巨大鱒を追う 」を読んでいたこともあり、
夕食時にはビールを飲みながら会話がはずみ、また彼の経験豊かな極北での釣りに
ついてのお話を伺うことができたいへん参考になりました。
( 工藤コメント:
その節は、たいへんお世話になりました。釣りもさることながら
毎晩、食事をしながらの談笑は楽しかったですね )
支流の釣りに向かうセスナ機から眼下に見下ろす広大なアラスカの原野のたたずまい
には、今さらながら感動を覚えました。
(工藤コメント:同感です。セスナ機からアラスカの原野を眺めたときは、「また、
アラスカに還ってきたんだな」と胸が熱くなりました )
( 写真:工藤提供 ~ ナクネクリバーの川岸のロッジから飛び立ったセスナから見下ろしたアラスカの原野 )
釣りに行った支流で上流と下流のそれぞれ30mくらいの距離にグリズリーが現れて、
その2匹が鮭の捕食を始めたことがありました。
上流にも下流にも動くことができず、じっとその場に留まっている時は、無事に
日本に帰れるのかと不安が横切ったものです。
( 工藤コメント:
熊のリスクは想像するほどではありませんが、今回の川のグリズリーの数は異常
でしたね。1km歩くと1頭は現れるという頻度でその度に緊張が走りました。
熊についてのリスクについては、海外釣り旅Q&Aの8を参照ください )
( 写真:工藤提供 )
今回、アークティックチャー( 北極イワナ )、グレーリング、真っ赤に
染まったベニザケを初めて釣果に追加できました。
* グレーリング
* レッドサーモン
イワナは河川により色調が、大きく異なるそうですが、今回手にした北極イワナの
魚体は淡い乳白色にかすかなうす緑が混じり、そこにブルーの斑点が散在。
その美しさに思わず見とれてしまいました。
* ( 写真:工藤提供~ アークティックチャー )
* ジャック( 約1年で母川回帰するキングサーモンの小型早熟魚 )
帰途、アンカレッジで同行者と別れた後、一人でマッキンリー山の登山口である
タルキートナをアラスカ鉄道で訪れました。
1日1便、冬期には1週間に1便しか運航されていない汽車は汽笛を時々大きく
鳴らして原野を疾走していきます。この旅も釣りと同じように印象深いものでした。
タルキートナは開拓時代の面影が残る小さな町で、民家のような博物館には
植村直己氏に関する資料も展示されていて、彼の偉業を偲ぶことができました。
また、周囲の木々はすでに黄色く色づき始め、さわやかな空気に満たされて
秋の訪れを告げていました。
【 アルゼンチン : パタゴニア ~ レインボートラウト 】
「最果ての地」、「風の大地」で知られるパタゴニアは、シー(ラン)トラウトで
有名です。いつかは訪ねてみたいと思っていたのですが、釣り旅行社のEさんの、
1m近い巨大な虹鱒が時合( 釣りで、魚がエサを食うころあいのこと )によっては
入れ食いになるという話に惹かれて、募集型のツアーに同行させていただきました。
自宅を早朝に出て羽田空港へ。羽田から成田へ移動。成田から、エアカナダで
トロントまで12時間余り。トロントでブエノスアイレス行きの待ち時間が
10時間あり、出発時刻は夜12時。途中。チリのサンチャゴで1時間余り駐機し、
ようやくブエノスアイレスに到着してホテルに一泊。
翌早朝、パタゴニアのエルカラファテ空港に向けて出発。正午近くに到着。
ここから、ガイドの運転する3台の四輪駆動車に分乗して目的地までの
7時間のドライブが始まりました。
最初の2時間は舗装された道路で快適でしたが、次の3時間はジャリ道。
最後に2時間はわずかに轍のあとがついた石ころだらけの原野の中を激しく
上下にゆられながらの走行でした。
川が原野を横切って流れている場所が数か所ありましたが、浅瀬を選んで横断。
荒野の丘にはグアナコ( 南米の高地に生息するラクダ科ラマ属の
野生動物 )が時々姿を現していました。
ようやくロッジに着いた時、時刻は夕方の7時。
日本との時差が12時間あり、自宅を出てから釣り場までの時間が72時間
かかったことになります。
( 工藤コメント:
本当にお疲れ様でした!記述していて、想像するだけでも疲労困憊してしまいそう
になりました。釣り人の執念を感じました・笑 )
翌日からの釣りは、はるばる来たかいがあり、ロッジの前の広大な湖
( 通称、ジュラシックレイク )とそこに流れ込む川には釣り人は
我々の一行7人のみ。
それぞれのポイントで各人が思いのままに竿を出しましたが、どこかで必ず
大きく竿が曲がっていました。活性が上がった時には次から次へと入れ食い状態
のことも何度かあったくらいです。
これが虹鱒かと思うような銀色に輝く80cm前後の豊満な魚体や
鮭のような鼻曲がりの風格ある姿。
様々な虹鱒に出会えましたが、ガイドが毎日その釣った魚の数を記録。
各人の1日の平均釣果数は、20 ~ 40尾でした。
* レインボートラウト( 記事冒頭の写真も併せてご覧ください )
4日間の合計では、一人当たり120 ~ 160尾の虹鱒をキャッチ&リリース
していました。
釣りを終えてからブエノスアイレスに到着し一泊、翌日は出発便まで半日余り時間があり、
アルゼンチンタンゴの発祥の地などを見学。帰途につきました。
南半球に位置するパタゴニアの季節は真夏なのに、ロッジの食堂には赤々と
燃える薪ストーブが必要な寒さ。
一方、帰路の北半球にあるトロント空港では雪が舞い、除雪車が
滑走路を整備するという当然のように真冬らしい冬景色した。
往復に要した日数は6日間、釣りが4日間、予備日1日の釣り旅が
終わりとなりました。
【 海外釣り旅の魅力について 】
日本では鮎の友釣りを除いて、ほとんど餌釣りを行っていますが
海外ではフライを主に、ルアーを従に使用しています。
フライフィッシングの環境が整っていること。
巨大なサーモンやトラウトに出会えること。
また、日本にいないボーンフィッシュやターポンなどの
素晴らしい魚とファイトできることなどが海外釣行の魅力です。
更にロッドを携えて、知らない土地へ旅する行程も私には楽しみの一つです。
【 日本国内の釣りについて 】
* 徳島県南の磯釣りの風景
四国は海に囲まれていますので、たくさんの磯釣りや船釣りのスポットがあります。
また、吉野川、海部川、四万十川や仁淀川などの有名河川や清流があるために
釣りの環境には恵まれています。
釣りを始めて10年余りが経過して、各シーズンの対象魚が決まってきました。
6月初旬の鮎の解禁日から10月中旬の禁漁日までは、専ら鮎の友釣りを
楽しんでいます。
10月下旬から春までは本格的な磯釣りシーズンです。
ふかせ釣りで主にグレ( メジナ )を中心に狙っています。
また、ヤエンを使ったアオリイカの釣りも、この季節にははずせない一つです。
イカが鯵を捕らえてからヤエンを投入するまでのハラハラ、ドキドキ感と
イカにヤエンが掛ってからの逆噴射の強い引きが魅力です。
3月1日から渓流の解禁が始まると、1年に数回ですがイクラを餌にした
アマゴ釣りにでかけます。残雪が残る3月上旬や新緑あふれる5月の渓は
素晴らしい自然が味わえます。
船釣りでは、季節の旬の魚を鳴門海峡や紀伊水道、室戸沖などで釣っています。
春の真鯛、初夏から夏のイサキ、ヒラメ、メジロ、秋の太刀魚、石垣鯛、アオリイカ
冬のカワハギ、アジ、サバなど様々です。
国内の中でも磯のグレ釣りや清流の鮎釣りなどは、海外の釣り旅に匹敵する
魅力を備えたものと思っています。
( 工藤コメント:
釣りを始めて10年余りということですが、海外・国内ともに
実に積極的、かつ多様な釣りを楽しんでいるのですね。
素晴らしい!四国の清流にはとても興味がわきました )
完
< 編集後記 >
Uさん、ボリュームたっぷりの楽しいお手紙を本当に
ありがとうございました。
読者の方が読みやすいように、経年の順番を多少入れ替えさせて
いただき、場所毎にまとめて構成し直しましたこと。お許しください。
また、お手紙に対して、ところどころに私の感想などを
" 工藤コメント "のタイトルで記述させていただきました。
読んでいただいた方々には、楽しんでいただけましたでしょうか。
それでは、次回もお楽しみに!
* ご参考 ~ご利用になった旅行会社は、2つともトラウトアンドキングさん。