vol.2 釣りの思い出とサケマスの魅力について by さかなクン

2014年12月21日 09:45
みなさん、こんにちは!
「 fish the world 世界を釣ろう 」に、さかなクンが遊びに来てくれました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
さかなクンとのおつき合いは、10年くらいになるでしょうか。
一度ゆっくりと特にサケマスについて話したいですね、と常々会話を
していました。それが、今回やっと実現することに。本当に嬉しいです。
 
サケマスを中心としたお魚の話だけでなく、ニュージーランドでの釣り体験
などでも話がはずんで大いに盛り上がりました。その模様をお送りします。
約3時間に及ぶ会話を原稿にしましたので、たいへん長い文章になりますが、
よろしくおつき合いくださいませ!
 
ちなみにサイト内のこのスペシャルは、釣りや魚についての話題なら何でもあり。
様々な企画をお届けしていくコーナーです。
また、「 fish the world 世界を釣ろう 」では、facebook公式ページも展開しています。( TOPページ下参照 )
本サイトの記事更新などをお知らせしていますので、そちらの方もよろしくお願いします。
それでは、早速、さかなクンにお話を伺います!
 
ゲスト さかなクン( 以下、Sさん )
インタビュアー 工藤( 以下、K  )                             
 
K:
さかなクンは、あまり釣りはしないと聞いていますが、お忙しいから中々機会もないですよね。
 
Sさん:                                                                                         
はい!釣りの機会は少ないでギョざいますっ。
でも、ニュージーランドで海釣りをしたことがあるんですよ。
 
K:
へー、そうなんですか~
ニュージーランドの海とか川とか日本人も釣りに結構行っていると思いますよ。
ニュージーランドでは何を釣ったんですか?
 
Sさん:
成魚( 二十歳くらい )の頃 、一人旅でホームステイをしました。
オークランドだったんですけど。安いスピニングリールを買って、近くの磯とか防波堤によく釣りにいきました。
ものすギョくタイが釣れるんです♪ スナッパーが。日本のマダイそっくりのギョーシューマダイ
( ゴウシュウマダイ )。ちょっと色が淡いのですが、美しい♪
ちょいと投げると、ばんばん釣れまして、、、。
 
ある時釣りをしていたら、クーラーボックスにいっぱいになるくらいになって。
そうしたら、周囲にいた現地の方々が白い目で見るのでギョざいます。
へんだな~って思って。それでホームステイをさせていただいているお家に持って帰ると、
そこのお母さんが「あんた何やってんの?」、それで「なんで?」って聞くと。
「 30cm以下は放流しなきゃいけないのよ!」って。
 
K:
あ~、なるほど。
 
Sさん:
日本ではりっぱな30cmに届くか、届かないかくらいのタイだったのですが
リリースしなければいけなかったのでギョざいます!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  * いくつものお魚に関する図鑑を広げながら、楽しい会話が続きました。
 
K:
釣りのエサは何だったのですか?
 
Sさん:
なんと!エサはシマアジなんですよ!!釣り具屋さんに行くとアイスケースに、山のように
1kgくらいのシマアジが積まれているんですね。一匹300 ~ 400円くらいで買えました。
三枚下ろしにして短冊の切り身にして、針につけるんですね。
 
ニュージーランドの海には、シマアジがたくさんいるのですね!
お魚屋さんにもたくさん並んで、しかも!お安かったです。
それから、ギョーシューマダイ( ゴウシュウマダイ )、キングフィッシュ( ヒラマサ )、サーモンとか。
そう言えば、サーモンは養殖なんですかね?
 
K:
サーモンは、もともとはニュージーランドにはいなかった魚で移植されたんですよ。
19世紀後半以降にサーモンとかニジマス、ブラウントラウトなども。
サーモンは、キングサーモンのみが自然環境に馴染んで定着したそうです。
キングサーモンは、養殖も行われていると聞いていますが。
 
Sさん:
ひゃー!そうなんですね!! さすが!工藤先生♪
ニュージーランドにいたときは、毎日、海の近くのお魚屋さんに通っていたんですけど、
うれしいことに、みーんな、おかしらつきで並んでいるんです。
でっかいヒラマサとかタイとかシマアジとか、中にはごっついミシマオコゼの仲間や
大きなハリセンボンの仲間がふくらんだままで並んでいたりして。
 
K:
ははは、、、
 
Sさん:
築地の場外のようなところで♪
そのハリセンボンを提灯にしたくて買いたいって言ったら、毒があるからだめって。
断られてしまいました( 笑 )。ハリセンボンの仲間だから、毒はないと思うのですが、、、。
 
ニュージーランドの釣りのお話に戻るんですが。
堤防で釣りしているときに、小さなイワシみたいなお魚が群れでちょこちょこ水面を移動していたんです。
何か他の魚に追われているのかなって思って。すると、水面に数本、アンテナみたいのが突き出ていて、
その小魚を追っていたんです。よく見たら、マトウダイなんです!! 
アンテナみたいなのはその背びれだったんですね。
 
 

 *マトウダイの絵( by さかなクン ):口がぴょんと飛び出るんですね。

 

マトウダイはジョンドーリーと呼ばれていてニュージーランドでは食用として
人気なんです。お魚屋さんでは、人気のお魚は一番がサーモン、
二番がキングフィッシュ、三番目がジョンドーリーと教えてくださいました。
 
日本では、マトウダイは少なくとも水深20 ~ 30mくらい深いところにいます。
図鑑には水深70 ~ 360mとか書かれていますし。何でこんな浅いところにいるのか不思議だなと思いました。
こんな光景は見たことがなかったので、びっくりして。
 
その時、8mmビデオを持っていたので撮影したんですね。それを日本に帰ってから、ある魚類学の先生に
見ていただきました。でも、ややピンボケだったこともあって、マトウダイですと言っても信じて
くれないんですよね。ギョックリ。
 
その後、愛媛県の松山で“ 魚の姿展 ”という、博物館でのイベントがありまして、
そこの学芸部長さんがものすっギョく釣り好きで「 さかなクン、僕は松山一の釣り
の名人なんや! 防波堤でマトウダイ釣るんだよ♪ 」っておっしゃって。
ギョエ~!! そうなんだ! やっぱり、ニュージーランドのあのお魚は、マトウダイで間違い
なかったんだ!って。
 
K:
そいうことってありますよね。
研究者の間では定説になっていても、意外に実はもっと生態が複雑だったりして。
 
Sさん:
そうなんですよねー。工藤先生!! おっしゃる通りでギョざいます。
水深70 ~ 360mとか書かれてしまうと、それ以外の事は学術的に信憑性がないと
思われてしまうんですね。でも、現地に行くと思わぬ例外もあったりして。
 
K:
そうそう、以前、さかなクンのアプリを一緒に制作していて、
アプリに掲載する魚の解説をさかなクンにしていただきました。
その際にニジマスについて、さかなクンが「北米原産の魚で~」ってお話されました。
 
それに対して、私が「 ニジマスは、実はカムチャッカ半島にも生息しているんですよ。
その情報を確かめるために、僕はカムチャッカ半島まで行ってニジマスを釣りました。
それが、この写真です 」って言ったら、さかなクンは「 ギョエ~!」って叫んで、椅子から落ちるほど
驚いてましたね。
 
 

 *ニジマス:カムチャッカ半島・ボルシャヤリバーにて。 2010年

 
Sさん:
そうでギョざいました~! 工藤先生のカムチャッカで釣り上げられた
美しいニジマスのお姿のお写真を拝見いたしまして、ギョギョびっくり!!
 
K:
一部の文献には、カムチャッカ半島にも生息しているとの記述はあるんですが
北米原産とだけ書かれている図鑑は多いように思いますね。
おそらく、ロシアと学術的、あるいは文化的な交流が薄いのが原因かも知れません。
 
現在では、一部の日本の釣り人の間では知られるようになってきて、
カムチャッカ半島にニジマスを釣りに行かれる方も増えてきているんですよ。
そうそう、スティールヘッド( 降海型のニジマス )もいるそうです。
そういうことって、意外に知られていないんですよね。
 
Sさん:
そうなのでギョざいますね­~!!。 スティールヘッドは、1m以上になりそうな大きさ
なんでしょうね!! すギョいですね~
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  * さかなクンと話をしていると、お魚に対する豊富な知識と溢れるばかりの愛情にいつも感動します。
 
自分にとっても、ニジマスは思い出深いお魚です。
最初に手づかみしたお魚ってニジマスなんです!
幼魚( 小学生 )の頃、剣道の合宿で山奥に行ったんですね。
朝から夕方まで暑~いけいこ場の中で剣道の練習!!汗かいて、防具とかすギョく臭く
なっちゃって。とても過酷な合宿だったんですね。
 
K:
はははー。小手とか、臭いですよね。
 
Sさん:
臭いかぐと、くらくらしますね(笑)
 
で、その合宿に行ったときに、ニジマスのつかみどりをやったんですね。
山奥のきれいな川に素足で入っていって。気持いい~、森のいい香りがするな~って。
すると川にニジマスが泳いでいて。でも、ぬるぬるして中々つかめなくて。
これがお魚の感触なんだ! こんなにぬるぬるしてるんだ。
それで、やっとつかんだニジマスが、きゃー、きれいって思って、ものすっギョく
感動しました。
 
でも、ショックだったのは地元のおばちゃんが、生きているニジマスを
そのまま頭を切り落として、内臓出してさばいていくんです。
ぎゃー、真っ赤な血がプシュッて吹き出て。わーって思うんですけど、
心臓は動いているんですよね。どっくん、どっくんって。びっくりしましたね~!!
 
釣りについては、やはり幼魚( こども )の頃、親戚のくらす千葉県の白浜の川で
一才年下のいとこと魚肉ソーセージをエサにウグイなどを釣ったのが最初だと
思います。
 
その頃、親戚や家族もいっしょに釣り堀に行こう!ということになって。
それがニジマスの釣り堀だったんですね。
たくさん泳いでいるんですけど、まわりの人はあまり釣れていないんですね。
おかしいな、と思ってたんですけど。
 
針に練り餌をつけてポチャンとおとすと、竿がグングン!すぐ釣れるんです。
それでみんなでどんどん釣って。あれよあれよと、びくはニジマスでギュウギュウ!
そうしたら、まわりの人が、「あーあ、あんなに釣っちゃって」って言うんですね。
 
大漁だ!って、みんなで喜んでいたら、図り売りだったんです。
全部買わなきゃいけなくて。釣った魚は戻してはいけませんって看板に書かれていて。
しょうがない、、、。と、叔母と母とで買ってくれました。
あまりにも、すギョい量だったので近所にたくさん配っていました( 笑 )
 
K:
ははは~
 
Sさん:
そういうことで、最初のお魚との出会いがニジマスという印象が強いんですね。
 
K:
日本では、ニジマスというと養殖とか、釣り堀のイメージがあって。
また、スーパーに行くと20cmくらいの大きさのものがパックして売られていますよね。
 
Sさん:
そうでギョざいますよね。
工藤先生が、サケやマスの中でニジマスが一番好きだとおっしゃっるのを
聞いて、子どもの頃のつかみどりや釣り堀のことを思い出して。何ていうんでしょうか、、、。
日本のお魚じゃないんですけど、日本でも、すギョく身近なお魚っていう印象が強いですよね。
 
K:
そうそう。そんな身近でかわいい大きさのイメージのニジマスですが、日本でも野生化したニジマスでは、
50cmとか、60cm以上に成長する魚もいるんですよね。
例えば、これ北海道の然別湖で釣ったニジマス( 57cm )なんです。
 
 
 * ニジマス:北海道・然別湖にて(  国内では、自己最大記録のニジマスです )。 2012年
 
Sさん:
ギョエ~! すギョいですねー!! 精悍な顔つきで。
こんなニジマス見てみたいでギョざいます♪
 
K:
でも日本では、野生の大物を釣ることが中々難しいので、カナダやニュージーランドとかに釣りに行く
人が多いんですよ。特に初めて海外にマスを釣りに行く際には、ニュージーランドに行く方は多いですね。
 
Sさん:
何でニュージーランドなのでしょうか?
 
K:
先程もお話したように19世紀に移植されたそうですが、
すっかり環境に適応した野生の美しいニジマスとブラウントラウトが釣れるということ。
また、私がよく行くアラスカなどに比べて秘境という感じではなく、身近な感じなのでしょうね。
日本からのアクセスもいいですしね。
 
それと、南半球に位置していて季節が日本とは逆で、日本が真冬で渓流釣りができない
年末年始などに釣りに行けるということもあると思います。
 
Sさん:
なるほど~!
それと、ニュージーランドの方々は人柄も気さくでいいですよね。
歩いているだけで、ハーイとか。ハローとか声かけてくださるし。
以前、ニュージーランドで迷子になってしまったとき、目の前に大きなバスが止まって
大柄な髭もじゃのおじさんが「おい、乗るか?」って声かけてくれて、「 どこ行きたいんだ? 」って。
 
フィッシュマートって言うと乗せて連れて行ってくれて。「ここだよ。じゃーな!!よい旅を♪ 」っていう感じで、
バスは去っていきました。おー、かっこいいーっと感動しました。
後で、あれ?お金払わなくてよかったのかな?って( 笑 )。それと気候もさわやかですねー!!
 
あっ、お勧めの水族館もギョざいますよ♪ オークランドに。ケリー・タールトンズっていうところなんですけど。
大きくて貴重なエビスザメやエイなどが泳いでいるんです。
日本の水族館とはずいぶん違うつくりになっていて。テーマパークみたいで♪
最初にトロッコみたいな乗り物に乗って暗い洞窟の中を通っていくんです。
 
そうするとペンギンが現れたりして。南極探検するような感じなんです。
進むと次第に海の中へ入っていくイメージ!! やがてトンネルの大きな水槽の中に。
でっかいサメとかエイとか、地元のお魚がいーっぱい泳いでいるのが見られるんです。
わくわくして何度も通いましたね。
 
ニュージーランドとか、オーストラリアもそうなんですけど暮らしている魚種は
タイとか、ヒラマサとか、シマアジとか。日本と似たようなお魚が多くて。
学術的には、反赤道分布と言われています。
赤道隔てて別れて、元々は同じ起源をたどった生き物の仲間が
北と南と反対の同じ緯度の位置に暮らすようになったと。
 
や~、だからなんだか。日本の海に似ているような、、、はい!
 
ところで、工藤先生。
WEBサイトの「 釣り人インタビュー 」、の記事を拝読させていただきました!!
ものすギョい! 世界のお魚のお話で。
 
サラトガすギョいですねー♪ ノーザンサラトガ!

(  海外釣り人インタビューvol.2、 折茂さんの記事を参照ください  )

熱帯魚屋さんでアルバイトしていたことがあるのですが、ノーザンバラムンディの名前で売られているんです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  *「釣り人インタビュー」 vol.2 折茂さんの写真をお借りしました。
 
あの輝きと顔つき!かっこいいですねー。
 
一般的にアロワナは、体が細長~くて柔らかくて、水槽でも狭いところでも
体をくねくねっとさせて泳ぎます。
ところが、ノーザンサラトガは体がっちりしていて、あんまり柔軟性が
ないって言われています。逆に、筋肉質で瞬発力があるのかもしれませんね。
 
K:
そうなんですか。去年( 2013年 )、アラスカでご一緒した方なのですが、マスも釣るけど
ああいう変わった形の魚を釣るのが好きだとおっしゃっていました。
変わっているかもしれないけど、とてもきれいですよね。
 
Sさん:
きれいですねーーー、 召し上がりはしないんでギョざいますよね?
 
K:
基本は、キャッチ&リリースだそうです。ただ、その方はオーストラリアでサラトガではないですが、
バラマンディのフィッシュ&チップスをレストランで食べておいしかったって、おっしゃってました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 *「釣り人インタビュー」 vol.2 折茂さんの写真をお借りしました。

Sさん:
ヒャ~!! うまそうでギョざいます~♪ アカメの仲間のバラマンディですよね。
 
K:
そうですね。海に生息していますが、川の河口の汽水域やさらに川の上流にも上ってくるそうです。
その方はオーストラリアの北の方のウェイパというところで、川では初めて釣ったそうです。
 
Sさん:
バラマンディも素晴らしいですねー。世界のいろんなお魚を釣られてすギョい!!
アロワナの仲間は、日本に全くいないですものね~。
あっ! でも、たまに、多摩川にいるらしいです。シルバーアロワナやピラニアナッテリーなどが、、、!!
 
K:
悩ましい、外来魚問題ですね。
 
Sさん:
そうでギョざいます。
それから、工藤先生! 一度、しっかり伺いたいと思っていたんですけど
いつごろから、どのように釣りに目覚められて、特にサケ類に思い入れを持つように
なられたのですか?
 
K:
私も少年の頃、とにかく生き物が好きで。東京だったのですが、当時( 昭和40年代 )
まだ自然が残っていて、クワガタやカミキリムシなどの昆虫から、カエル、トカゲ
ヘビなどなど、いろんな生き物を捕まえて遊んでいました。それも素手で捕まえるのが好きで。
つかんで獲っては、家で飼って。しばらく眺めて逃がす。というのを繰り返していました。
 
中学生くらいから大学生まで、しばらく生き物との関わりから離れていたのですが、
どこか心の中で生き物や自然とつながっていたいという思いがありました。
それで、社会人になってから、ダイビング、サーフィン、釣りなど自然との接点のある遊びをいろいろ
試してみた結果、釣りに落ち着いて現在まで続けているっていう感じですね。
 
1980年代ですが、最初はルアーのバス釣りを始めたのですが、トラウト( 鱒 )のルアーも面白そうなので、
芦ノ湖や本栖湖などの湖や渓流にも通うようになりました。これが中々釣れないのですが、
何年かすると、やっと釣れるようになって。そして、釣れる野生化したニジマスやイワナ、ヤマメの美しいこと。
感動してしまって。すっかり、はまってしまいました。
 
それで、海外まで釣りに行くようになって。初めての海外は、1988年のカナダでした。
大物のスティールヘッド( 降海型のニジマス )を求めて。ただ、その時は40cm代の小さな
スティールヘッドやイワナしか釣れなくて。初めて行ってそう簡単に大物が釣れるほど甘くはなかった。
 
でも、圧倒的な大自然や美しい野生のトラウトは素晴らしく、絶対また行こう
と思い、以来1 ~ 2年に一回のペースで海外の釣り旅を続けています。1988年カナダの旅で
釣りたかったスティールヘッドですが、2004年の同じくカナダ、バンクーバー島という島の川で釣ることが
できました。それが、この写真です。はまるのわかりますよね~
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Sさん:
うわぁー、めちゃくちゃきれいなお顔ですね。 ニジマスに見えないですねー!!
 
K:
特徴的なのは、海から上って間もないので、まだ銀色に光っているんですよね。
 
Sさん:
銀化ってことですよね!! サケは海から川に上る2 ~ 3か月くらい前からエサを食べないと
言われていますが、ニジマスもそうなのでしょうか?
 
K:
うーん、わからないですね。調べてみますね。
さかなクン、こちらの写真も見て欲しいのですが。昨年、アラスカの川で釣ったニジマスです。
これは河川残留型の個体ですね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

  

   * ニジマス:アラスカ・コータックリバーにて。2013年

Sさん:
ギョオ~ッ♪ こちらもきれいですね~♪ 陸封でもこんなに大きくなるんですね!!
ひれも先がとがっていて。黒点もこんなに全身に入るんですね。
 
K:
時期は昨年の8月だったんですが、ちょうどレッドサーモンの遡上の最盛期で
その産卵する卵を狙って、イワナやニジマスが活性化するんですね。
こちらは、イワナの仲間です。美しいですよね!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

  

*現地のガイドからは、アークティックチャー( 北極イワナ )との説明。一方、ドリーバーデンでは?と指摘される方もいて、現在調査中です。

 
Sさん:
ギョギョ~!! なんですか、この色は。泉から出てきたような。エメラルドグリーンというか。
 
K:
今回、初めてわかってびっくりしたことがあるんですけど。イワナやニジマスがサーモンの産卵したイクラを
食べるのはサーモンが産卵床をつくって、そこに産み落とされたイクラを食べると思うじゃないですか。
それもあるのでしょうけど、それだけじゃなかったんです。どいうことかっていうと。この写真見てください。

( このイワナは降海型オショロコマのドリーバーデンのようです )

 * 釣り上げた直後のイワナの口の中にはイクラがいっぱいで、溢れ出しました。これは、大半がこぼれた後の写真です。

産卵を前に遡上途中の雌のサーモンのお腹からは、ポロポロと卵が出てきている。
イワナやニジマスはサーモンの群れの後ろについて追尾して、このポロポロと出て下流に向かって
水中を流れていくイクラを拾うように食べていたんです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 * さかなクンには、私の海外釣り旅の経験談や思い出話を、いつも関心を持って聞いていただいています。ありがとうございます!

 

Sさん:
ギョェ~!!!!! でも、お腹から出て流れてしまう卵は孵化しないから、
自然の摂理としては、いいお話でギョざいますよね!!
 
そう言えば、三陸の漁師さんの定置網漁のお船に乗させていただいた時の
ことなのですが、ワインのコルク栓のようなものがたくさん用意されていて。何に使われると思います?
 
なんと! それを網に入った雌のサケのおしりの穴に、ふたをするように刺し込んでいくのです!!
 イクラがこぼれないように。栓がはずれたり、刺し込んでいない鮭からはばーっと、
イクラがこぼれるんですね。産卵直前の雌のサケ類は、卵があふれてしまうこともあるのですね!!
 
K:
話は変わりますが、レッドサーモンの面白い特徴って、さかなクン、知ってます?
 
海から母なる川にサケが戻る。これを母川回帰なんていいますよね。
レッドサーモンは、まず海から川に入る。その後に上流にある湖に一旦入る。しばらくその湖に留まり、
さらに湖に流れ込む川( 本当の母川 )に上っていって産卵するのだそうです。
そして、孵化した稚魚は、生まれた川からその湖に降りて、しばらく留まって、海へと降りていく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

   * ホワイトボードに絵や図を描きながら、レッドサーモンの特徴についてお話しているところ。

 

その代表的な湖が、例えばアラスカのイリアムナレイクです。
東京湾の約2倍の巨大な湖で、そこの周辺のエリアは世界最大の
レッドサーモンの産卵場と言われているそうですよ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 *セスナから見たアラスカのイリアムナレイクの風景。広大で海のよう。

Sさん:
すギョい! 壮大!!
 
K:
あ、それとこんな話もありますね。
レッドサーモン( 紅鮭 )が海から遡上する川が何らかの自然現象( ex.火山の噴火 )でせき止められると
陸封されてしまう。それで誕生したのがヒメマスと言われていますよね。
 
その他の例では、北海道の然別湖のミヤベイワナとか。
川にいたオショロコマが、大雪山系の噴火でできた然別湖に閉じ込められて、独自の進化を遂げたそうです。
ミヤベイワナも陸封なわけですが、産卵は流入河川を遡上してすると聞きます。
 
Sさん:
サケ類は、奥が深いですね~!
 
サケ類はもともとは純粋な淡水魚だったという説がギョざいます。
氷河期に川に食べるものが少なくなったり、水温が下がってやむなく海に降りたと考えられています。
「千歳サケのふるさと館」の菊池基弘先生に教えていただき、ギョギョッとビックリ! 感動いたしました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 * いつも元気で楽しい、さかなクンですが。お魚について熱く語る際には、研究者の顔になるんだな~って思いました。

K:
へぇー、そうなんですか。それは初めて知りました。
先程、海と川を行き来するレッドサーモンの陸封型がヒメマスとの話を
しましたが、そのさらに以前の太古では淡水の魚だったということですね。
 
S:
そうなのでギョざいますねー! 興味深いですね~。
 
ところで、工藤先生は釣ったお魚はキャッチ&リリースで食べないんですか?
 
K:
そうですね。アラスカとか行き始めたころは、ルールの範囲内でキープできるので、
雌のサーモンを1尾、イクラとともに持ち帰ってお土産とかにしていたのですが、今は全部リリースですね。
 
Sさん:
現地の方もそうなのですか?
 
K:
ゲームフィッシングという考えが普及していて、アメリカやカナダのお客さんも
特に淡水域でのフライフィッシングの方とかはキャッチ&リリースが主流みたいですね。
ルールは、国や場所によって様々なのですが、100%キャッチ&リリースが義務付けされている
場合もありますし。
 
海のエサ釣りとかは、例えばカナダ沿岸のキングサーモンをニシンで釣るような
釣りでは、キープしていい数の魚を、冷凍でパッキングして持ち帰る場合が多いようですが。
 
Sさん:
ギョー理的( 合理的 )! 国内ではどんな釣りをされているんですか?
 
K:
普段は河口湖周辺で、本栖湖とか、忍野八海の近くの忍野桂川という小さな川で
ニジマス、イワナ、ヤマメとかを釣って楽しんでます。
富士の湧水でできている川なので、とても水がきれいで、そこで育つマスたちも
きれいなんですよ。
 

 * 忍野桂川のニジマス。

Sさん:
すギョーい♪ きれいですね~!!
サケ類の魚って艶っぽいですねー♪
 
K:
さかなクンは、普段の講演とかでサケマスを題材にして、お話とかされることってありますか?
あるいは、サケマスについてどんな印象をお持ちですか?
 
Sさん:
サケ類は、川と海のつながりをすギョく教えてくれるお魚です。
また、サケの仲間は源流にイワナ類がいて、上流にヤマメ( サクラマス )がいて。
それが地域によっては、アマゴ( サツキマス )になったり。
琵琶湖だったら、固有のビワマスと亜種に分かれます。
日本の風土に合わせたようなサケの仲間がいるというのが、食文化にも
つながっていたり。“ 荒巻 ”とか“ 鮭とば ”、とか♪
また、漁法、釣り方も含めて、日本人の文化や伝統ともにつながっていますよね。
 
北海道では昔、サケの皮で靴とか、着るものも作っていたという話があったり。
日本人にとっては身近であり、無くてはならないお魚でギョざいます。
 
あと、森や川と海がつながっているという生態系のお話をさせていただく時は、
イワナやサケから入ることが多いでギョざいます。
 
K:
そうなんですね~
 
Sさん:
それと、奥が深いお魚だと思うのは、次のようなこともあります。
 
例えば、川にいるヤマメは鱗がはがれにくいですけれど。
海に降りて銀化( スモルト )してサクラマスになるとイワシ類のようにはがれ易くなります。
 
それが、川に戻ってくるころになると鱗は皮ふにうもれるようになって、はがれにくくなります。
川には常に流れがあって、逆らって泳ぐので、なるべく体を滑らかにするために
粘液が多く、つるんとした感じになるのだと思います。
 
サケのギョ研究をされている先生にうかがうと、川では、細菌から守るためとも
教えていただきました。海では、敵に襲われた時などに、鱗がばらばらとはがれ、
敵の視界をさえぎるような役目もあるのかもしれませんね。
 
漁業や水産に携わる方によると、海で捕れたサケの仲間は鱗が
はがれやすいほど脂がのって美味しいそうです。
 
そう考えると、パーマークが消えたり、銀色になったり。鱗がはがれ易くなったり。
くらしと環境に合わせて体のつくりもすギョく変化する、柔軟性に富んだお魚!
たくましいでギョざいます。
 
K:
いや~、面白いですね。勉強になります。
私は学術的な専門性はないんですけど、朝活なんかで釣りやサケマスに
そんなに興味がない人にも分りやすく話を聞いていただくために、こんな話を
しています。
 
「サケ科の魚には、河川残留型と降海型がいて名前が変わることがあります。
 イワナ( エゾイワナ )が海に降りるとアメマス。では、ヤマメが海に降りると何になる?
 ( 答:サクラマス )」とか。
「シルバーサーモンの和名は、ギンザケ。レッドサーモンは、ベニザケ。
では、キングサーモンの和名は?( 答:マスノスケ )」とか。
その答えを実際に自分が釣った魚の写真をお見せしながら解説したりします。
 
 
Sさん:
すばらしいでギョざいます!
おー、このキングサーモンは大きいですね~
(  さかなクンが、私の朝活の資料の中から、下記のキングサーモンの写真を見ての感想です )
 
 
 
 
 
 
 
 
 

  

  * 雄のキングサーモン。アラスカ、レイククリーク( 湖ではなく、川の名前です )にて。1997年

ところで、工藤先生。サケは川に戻ると食事をしないと言われるのに、
ルアーとかに反応するんですか?
 
K:
はい。これが面白いのですが、一様ではないんですね。あくまで、私の経験で感じていることなのですが。
シロザケ( チャムサーモン )は一回しか釣ったことがないのでよくわかりません。
その他では、シルバー( ギンザケ )とピンク( カラフトマス )は比較的によく反応するように思います。
( 自然の中で生きる野生ですので、いつも一様にということではありません。その日の天候やその年に遡上する数の多寡によっても変化します。
 あくまで、全般的に私が感じていることと、ご理解ください )
 
次にキング( マスノスケ )。キングは大きくて重たいのでルアーに食いついても
釣り上げるのは結構大変ですね。
10kg以上 になると、米俵くらいの筋肉のかたまりみたいなものですから。
私は3回ヒットしても、上げられるのは1尾くらいでした。
 
Sさん:
ものすっギョい力なのでしょうね!!
 
K:
はい!
それから面白いのはレッドサーモン( 紅鮭 )なんです。
初めてアラスカに行ったとき、湖だったのですが。たくさんいるのに、ルアーに見向きもしないんですよ。
3日間で、やっと一尾釣れたというくらい厳しい釣りで。
 
ところが、その後、再びアラスカで違う場所の川に行ったのですが、
1キャスト1ヒットの入れ食いで釣れたんですね。
 
現地の釣りのガイドなんかに聞くと、総じて反応がよくないので
あまりゲームフィッシングの対象には勧めないなんて言われて。
でも、入れ食いで釣れるケースもあるわけで。
 
謎なんですよ。それが、川によって違うのか、季節の違いなのか。
 
Sさん:
不思議でギョざいますねー!!
 
工藤先生! お次はどんなサケ類を釣りたいですか?
 
K:
アトランティックサーモン( タイセイヨウサケ )ですね。
太平洋のサケはすべて釣ったので。釣りたい最後のサーモンなんですね。私にとって。
 
太平洋のサケと雰囲気違うんですよね。まだ、写真でしか見たことがありませんが
なんか茶色っぽくて。ちょっと、ブラウントラウトに近いような。

( 今年の8月に、アトランティックサーモンをノルウェーで釣ることができました。 同じ、スペシャル・コーナーのvol.1を参照ください )

 
Sさん:
ブラウントラウトも大西洋鮭の仲間ですものね。
 
K:
なるほど~、そういうことなんですね。
 
Sさん:
えーっと、実は、工藤先生に使っていただきたくていくつか
釣りに関わるお魚の絵のデータをギョ用意してきました。
 
これは、NHKの「にっぽん釣りの旅」という番組で釣り名人の方とギョ一緒に
五目釣りならぬ十目釣りをしました。釣れたお魚は外道なんて言わずにどんなお魚でも本命!
ハオコゼでもベラ類でも全部おいしくいただくという企画でした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
若狭湾に浮かぶイカダから釣りをして、カワハギ、アジ、ハオコゼなどなど、
いろんな種類のお魚が釣れました。そして、お刺身や唐揚げにして食べました。
 
特に初めて食べたハオコゼの唐揚げは、オニオコゼに負けないくらい
美味しくて、ギョギョっとびっくり!!名人も目をうるうるさせて
「俺がいつも放り投げていたお魚がこんなにおいしかったのか!!」と感激されていました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
写真もいいのですが、臨場感のある絵を描いて、大きさを記したり
日づけや釣り場の状況などを。データにして残すのも大切だと思います。
 
これは、カエルに飛びかかるイワナの絵です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、ヤマメとサクラマス。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  次は、銀化したサケ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 そして、ブナ模様( 婚姻色 )が出ているサケ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 色鮮やかさを強調して描きましたニジマスです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、クニマスでギョざいます!!
今までの中でも全神経を集中させて描きました!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
でも、サケの仲間は、見れば見るほど美しく、かっこいいなーって。感動します。
 
K:
ほんとですよね~
 
Sさん:
それとマスなのですが、よく見ると下顎に穴が空いていることに気が付きます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

  * これも、さかなクンが描いたクニマスの絵です。下顎の穴に、ギョ注目ください。

 
たぶん、水の流れとか、仲間との距離とかを計るための感覚器官なのだと思います。
ハゼの仲間は、頭全体に感覚器官がギョざいます。
 
 
K:
そうなんですか! 初めて知りました! たくさんの素晴らしい魚の絵、いいですねー。
今日は本当にありがとうございます。
 
Sさん:
こちらこそ、誠に!ありがとうギョざいます。とっても勉強になりました。
サケ類は中々普段知る機会がなくて。工藤先生のように、釣りを通して得られた
サケ類の情熱いっぱいのお話は本当に楽しく学ぶことができます!
 
K:
いつもここに行けばいるという魚じゃないですものね。
私のほうもたいへん勉強になりましたし、とても楽しかったです!!
 
ところで今、「 fish the world世界を釣ろう 」にご出演いただいた方に
オリジナルのコースターを差し上げています。キャンペーン中ということで。どうぞ!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Sさん:
ギョギョギョー! ものすっギョく、うれしいです♪ ありがとうギョざいます!
 
K:
こちらこそ、本当にありがとうございました。
それでは、これからも楽しいおつき合いを宜しくお願いします!!